老いること

将来自分が歳をとったら、一体どのような生活をしているのでしょう。何を考え、どのように感じているのかと思うと、不安はありますが、楽しみでもあります。

東京都足立区:荒川河川敷

「孤独死」や「下流老人」という流行り言葉を最近よく耳にします。日本を取り巻く高齢化社会の問題は、私たち一人ひとりに重たくのしかかってきます。金銭や病気、孤独に対する不安はどんなに準備や配慮をしても拭い去ることはできません。

最悪の事態を想定すれば、いくらでも惨めな自分を想像することができます。そのような事態に対して策を講じる必要性も感じ、今からそうならないように準備するべきです。しかしながら、必要以上に考えすぎてしまうと憂鬱な気持ちになって、これから生きていく意味さえわからなくなってしまうような気もします。

実際に苦しい状況になった場合、おそらく余裕などないのかもしれませんが、できることなら私は今以上に何かを想像し、創作ができるようになっていたいと思っています。それは紙と鉛筆さえあれば実現できますし、それらがなくても意識さえはっきりしていれば、頭の中で創作することは可能なのだと思います。

さらに、今以上に人生の経験を積んでいるのでしょうから、創作行為がより豊かになっている可能性があります。また、今より社会的な立場が弱くなっているのでしょうから、人のありがたみがわかるでしょうし、逆に人の冷たさも見えやすくなります。社会や人の特徴が浮き彫りになれば、それだけ創作するモチーフが捉えやすくなるのかもしれません。

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創作以外でも、人に優しくされることがあれば相手に対して感謝することができるでしょうし、人間の冷たさを知っているぶんだけ喜びも増すのではないかと思っています。このように考えられるのは、今現在がとても充実しているからなのでしょうが、いつまでも謙虚であり、想定外の変化を楽しむ気持ちを持ち続けていれば、何%かは歳をとっても同じような考えを持ち続けることができるかもしれません。

実際に歳をとってこのコラムを読んだときに「何を甘いことを言っているのだ」と呆れてしまうかもしれませんが、今は老いることを楽しみにしていたいと思っています。

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