王子稲荷の凧市

稲荷神社の東国三十三国稲荷総司である王子稲荷。凧市は毎年初午と二の午に行われる行事です。火災をはじめとした災いから身を防いでくれる火防(ひぶせ)の凧が有名で、地元住民を中心とした参拝客が、毎年多く訪れます。

東京都北区王子:王子稲荷神社の凧市

通常、神社の行事というものは、土日祝日に合わせて開催されません。もちろん建国記念日や春分の日などは催される行事もありますが、むしろそれはその日に合わせて祝日があてられたものです。初午も新暦の土日になるのは稀で、働いている人にとっては参加できない場合があります。

東京都北区王子:王子稲荷神社の凧市

今年の初午は土曜日でしたので、久しぶりに凧市に出かけてみました。以前の記憶を辿ると十年の歳月が流れていました。仕事に忙殺され、中国などで生活していたことが原因です。都電で飛鳥山まで行き(王子駅の方が近いのですが)、王子稲荷に向かいました。

参道は参拝客と露天でごった返し、賑わっていました。露天の数はかなりのもので、見ていて飽きませんでした。とりわけお好み焼き屋が多く、目玉焼きが乗っているのと、あふれんばかりの大盛りでサービスするお店が目立ちました。行事や地域によって露天の特徴が変わるのが不思議に思っているのですが、その仕組みをいつか調べてみたいと思いました。

東京都北区王子:王子稲荷神社の凧市

境内は参拝する人々が行列をなしていましたが、きちんと通行整理をされていたので歩きやすかったです。王子稲荷に来るといつも感じるのですが、地元の人々の稲荷に対する敬虔な心に感動します。

東京都北区王子:王子稲荷神社の凧市

神社には、隣接する稲荷幼稚園の園児たちが作った行灯が飾られています。こちらの神社の行事の特徴は、この園児たちの頑張りが第一に挙げられます。

東京都北区王子:王子稲荷神社の凧市

上の写真は十年ほど前に撮影したものですが、神楽殿で舞楽を披露する園児たちです。美しい装束を纏い、可愛らしいだけでなく、凛とした立派な舞いを見せてくれました。今年は時間の関係で鑑賞することはかないませんでしたが、現在も脈々と受け継がれているようです。

東京都北区王子:王子稲荷神社の凧市

さて凧市というだけあり、境内に凧を売る露天がいくつかあります。職人の方が素敵な拍子で凧を売っていました。熊手や朝顔、羽子板などは各所で見受けられますが、凧の販売はこの凧市でしか見たことがありません。外国の方も興味深そうに覗いていました。

東京都北区王子:王子稲荷神社の凧市

王子稲荷の火防の凧は、社務所で拝受することができます。また、装束稲荷にも火防の凧があります。装束稲荷は、大晦日に王子稲荷に集まる狐たちが装束を整えるために榎の木の下に集まる伝説があり、その木に鎮座する神社です。王子稲荷から歩いて十五分ほどの距離にあるので、王子稲荷を参拝する際には併せてお参りしたいものです。上の写真は十年ほど前に手に入れた火防の凧(左:王子稲荷、右:装束稲荷)です。

地域や日本の風俗に密着した神社の行事は、宗教というには曖昧すぎる、おおらかさがあると思います。また、身近なものの大切さを再発見できる良い機会と思います。これから春に向けてたくさんの行事がありますので、皆さんも出かけてみてはいかがでしょうか。

王子稲荷神社
東京都北区岸町1-12-26
JR王子駅、都電王子駅、東京メトロ南北線王子駅から徒歩10分

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