なりたかった自分と今の自分

大抵の人が、過去に思い描いていた「こうなりたい自分」と、今の自分が乖離していると感じていると思います。全く異なる夢を追いかけている人にとっては問題ないのでしょうが、くすぶったまま、どのように自分自身に納得させているか周りの人たちに聞いてみたくなる時があります。

猫

子どもの頃の夢は大抵が大雑把で、本当にそのようになりたいのか分からないまま憧れている場合があります。宇宙飛行士、プロ野球選手やアイドル歌手など、テレビや本で触れる派手な職業が多いように思います。また、自分の周りにいる大人たち、保母さんやバスの運転手など身近な存在に憧れる場合もあります。

私の場合、幼稚園くらいの頃は画家になりたかった記憶があります。絵を描くのが得意でよく大人に褒められていたことと、父親がピカソが好きだったこともあります。それから小学生になってからはファミコンブームだったため、ゲームデザイナーになりたいと思った時期もありました。何にしてもクリエイティブな職業に就きたかったのだと思います。

中学に入ってからは海外に興味を覚え、とにかく海外勤務の仕事に就きたいと思っていました。過去になりたかった職業は既になりを潜めていました。画家はお金が稼げない、ゲームデザイナーはどのようになるか分からないし、加えてゲームへの興味は薄れていました。クリエイティブな活動は趣味の範囲で十分だと考え、高校に入ってからは、とにかく受験に向かって進むだけでした。

しかしながら高校二年生の時、つまり進路の崖っぷちまで来てようやく将来のことを真剣に考えるようになり、私はグラフィックデザイナーやアートディレクターという職業を知ることになります。美大へ受験する決意をし、大学を卒業してからはウェブデザイナーになり、今は海外を行き来しながらウェブや雑誌のクリエイティブに携わっています。言ってみれば、子どもの頃に就きたかった仕事に就けたと言えます。

しかしながら、クリエイティブの仕事を黙々とこなすようになりましたが、小さな頃から憧れていたクリエイティブの性質とは少々異なることに気づかされます。また、過去に描いていた自分自身の大きさと比べて成長できていないことを痛感するようになります。このもやもやは四十歳付近特有のものだと思います。

そして今現在、そのもやもやは消えないままです。しかしながら、少しずつ現実と折り合いをつけながら、理想の自分に向かう道を見い出すことができました。その道は非常に険しいものではありますが、一歩でも先へ進むことは大事だと思っています。

人生には障害がたくさんあります。理想と現実の乖離は、社会だけでなく自分自身にも多く見られます。もっと頑張っていればよかったと思っても、今この瞬間、将来に向かって頑張ることができない。周りのせいにすれば良いけれども、結局最後は自分に跳ね返ってきます。
こういった悩みに対して、皆さんはどのように折り合いをつけているのでしょうか。とても興味があり、ぜひ話を聞いてみたいものです。

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