小石川植物園の梅とメジロ2017

雪も降ったりと寒い日が続きますが、自然界ではすでに春の兆しがそこかしこに顔を覗かせています。文京区の小石川植物園の梅も咲き乱れていました。

東京都文京区小石川 小石川植物園:梅とメジロ

初午の時期になると、湯島天神の梅まつりも始まり多くの参拝客が訪れますが、小石川植物園は週末でもそれほど人は多くありません。数多くの梅の品種が集まる見事な景観でありながら、のんびり過ごすことができるのはとても贅沢というものです。

東京都文京区小石川 小石川植物園

人の数はまばらですが、メジロは数多く飛来して一所懸命に梅の花にくちばしを突っ込んでいます。普段は路上で見かけても、近くに寄るとすぐに逃げてしまいますが、梅の花が満開の植物園では頭上をかすめるくらい近くで見ることができます。食べ物もなく寒くて長い冬をじっとこらえていたからでしょうか、梅の咲き乱れる風景は天国のように見えるのかもしれません。

東京都文京区小石川 小石川植物園

梅を観賞しに来た人々も、メジロの姿を見ると自然にカメラを向けていました。一方の手のひらに包めてしまうような小さな姿と、萌黄色の美しい色、そして目の周りの白いリングに夢中になってしまうのは分かります。これをきっかけに、私と同じように普段の生活でも野鳥に目を向けてくれたらいいなと思います。

東京都文京区小石川 小石川植物園

さて、メジロはよくウグイスと間違われるといいます。このコラムを読まれている方はご存知と思いますが、ウグイスには目の周りに白いリングはありません。そしてウグイスは萌黄色をしておらず、もっと茶色い色をしています。上野動物園にはメジロとウグイスを同じ場所で飼育しているので、機会があれば見比べてみてください。

東京都文京区小石川 小石川植物園

彼らがよく間違われる理由に「梅に鶯(うぐいす)」という言葉があります。あの言葉は、春の梅の咲く時期にウグイスが「ホーホケキョ」と鳴く風景を表現したもので、実際にはウグイスは人前にほとんど姿を見せることはありません。

東京都文京区小石川 小石川植物園

また「鶯色は萌黄色じゃないか」とおっしゃる方もいますが、実際の鶯色はウグイスの色、つまり茶色のような緑です。どちらかというとオリーブに近い色だと思います。もともとメジロとウグイスを混同する人がいて、より柔らかで華やかな印象のメジロの萌黄色のほうが目立つために「鶯色は萌黄色」と勘違いしてしまうようです。確かにメジロの色のほうが印象に残りますが、着物などの鶯色は渋くて異なる美しさがあります。

東京都文京区小石川 小石川植物園

私はメジロを観察したり、撮影することが好きなのですが、やはり梅の花とメジロは最高の組み合わせだなと感じます。メジロは桜の花にも合いますが、少し寒い時期に咲く梅のほうが、より春の訪れを感じさせます。

東京都文京区小石川 小石川植物園

野鳥を一年中観察しているので、彼らの冬の厳しさは相当なものであることを私は知っています。ですから、たくさんの梅の花の前で夢中になっているメジロたちを見ると心が躍ります。

東京都文京区小石川 小石川植物園

小石川植物園では、メジロの他にジョウビタキ、ツグミ、シロハラなどの冬の野鳥も観察することができます。また、スズメ、ヒヨドリ、アオジ、ムクドリ、カワラヒワ、ワカケホンセイインコなどたくさんの留鳥も見ることができます。椿も見頃なので、ぜひ足を運んではいかがでしょうか。

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