土筆(つくし)の季節

清明の節気が訪れ、ますます春らしくなってきました。ここしばらく私は荒川をぶらぶら歩く週末を過ごしていますが、ようやく土筆(つくし)に出会えました。

東京都足立区西新井橋:土筆

子どもの頃に荒川へ行くと、春には必ず土筆が生えていたものです。最近ではスーパー堤防の設置で土壌が変わったのか、それとも単に見逃していただけなのか、なかなか見かける機会がありませんでした。
先日、荒川を下流から歩いているときに、西新井へ向かう西新井橋南詰あたりでようやく土筆を見つけることができました。

東京都足立区西新井橋南詰

土筆は川側ではなく、マンションなど建っている陸側の土手にたくさん生えていました。ご存知のとおり、土筆はスギナの胞子茎なので、多くの細長いスギナが取り囲んでいました。土筆は二月末から三月中旬と、三月末から四月初旬に生えるそうですが、私が見つけたものは胞子の帽子の先端がすでに黒くなりかけていました。

東京都足立区西新井橋:土筆

とりあえず、片手で握れるくらい摘んで持ち帰りました。まず、茎に付いている袴(はかま)と呼ばれる部分を指と爪で剥がしていきます。灰汁(あく)で爪の間が黒くなりますが、酢で指を濡らすと色が付かないそうです。片手のひと束といっても、結構な量があるので少々根気がいります。すべて剥がしたら水を張ったボウルに入れて何度か洗い灰汁や泥などを落とします。胞子の先端の黒い部分は、念のため取り除いておきました。さらに、塩を少し入れて沸騰させたお湯に入れてかき混ぜます。苦味が欲しい場合はあまりお湯に浸けすぎないほうがいいようです。

土筆料理

食べやすい大きさに切ってから、醤油とみりんと出汁をそれぞれ小さじ少々、油で軽く炒めた土筆に混ぜて煮出します。今回はあまり味が濃くならないようにヒタヒタ程度で止めました。

ほんのりと土筆の苦味が効いて、春らしい一品となりました。その日は今年初めてのツバメにも会えましたし(まさに今の七十二候は玄鳥至:つばめきたる)、まさに春の季節の到来を感じさせるものたちを五感で味わうことができました。皆さんも、もし土筆を見かけることがあれば、ぜひ調理して味わってみてください。

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