上野駅から東へ少し歩いたところに稲荷町があり、その町名の由来になった下谷神社があります。でも、なぜかそこにアヒルがいます。
下谷神社の歴史は古く、奈良時代まで遡るそうです。祭神は大年神(おおとしのかみ:天照大神の弟)、配祀祭神は日本武尊(やまとたけるのみこと)で、聖武天皇の時代に峡田稲置たちが上野忍ヶ丘に二柱を祀ったことが由来だそうです。
町名の稲荷に関しては、昔から「正一位下谷稲荷社」と称されていたそうで、延保八年に広徳寺門前町に神社を移した際に周辺が「稲荷町」と呼ばれるようになったそうです(由来はすべて下谷神社のウェブサイトより)。
さて、この神社には可愛らしい動物がいくつかいます。一匹はこの神社で飼われている猫で、触らせてくれますがあまり人に甘えない、味のある性格をしています。境内をいつもウロウロしており、姿を見せるたびに参拝客の注目を浴びています。
そしてもう一羽は、ガーちゃんというアヒルです。稲荷社の奥で飼われていますが、こちらもたまに境内を散歩している様子を見ることができます。白い羽毛につぶらな瞳、そして黒いまだら模様が付いた黄色いくちばしが特徴です。
私がずいぶん前に訪れた際もガーちゃんはいましたが、先代だったのかは不明です。しかしながら、アヒルの寿命は十年、二十年とも言われているので同じかもしれません。実際、ガーちゃんは少し大人しく、老齢のような気がします。
ガーちゃんに加えてもう二羽のアヒルが境内で一緒に飼われていますが、彼らはとても元気です。好物だというスイートコーン缶のふたを開けると突進してきて、我先に缶の中にくちばしを突っ込んできます。
ガーちゃんもコーンが食べたいと近寄ってくるのですが、若い二羽に圧倒されて少し離れて物欲しそうにしています。ですから、ついついガーちゃんを優先してしまいます。
ガーちゃんは大人しく、撫でても嫌な顔ひとつしません。お尻を振りながら歩く姿も愛嬌があって、とても癒やされます。
私が訪れた際も、男性の方がガーちゃんを撫でながら一時間以上寄り添っていました。話を聞くと子どもの頃にアヒルを飼っていたそうで、当時を懐かしんでいるようでした。
ガーちゃんはとても人気があり、下谷神社の御朱印にもガーちゃんのスタンプを押せるそうです。もしも上野に行く機会がありましたら、少し足を伸ばして下谷神社に会いに行ってみてください。
下谷神社
東京都台東区東上野3-29-8
JR山手線「上野駅」徒歩6分
東京メトロ銀座線「稲荷町駅」徒歩2分
都営大江戸線「新御徒町駅」徒歩5分
都営バス「下谷神社前」徒歩2分