湯町窯のうつわ

黄釉(きぐすり)のまろやかな色合いがあたたかい印象を醸し出す湯町窯のうつわたち。銀座たくみで初めて出会ってから、その魅力に取り憑かれています。

湯町窯のうつわとbaguette rabbitのパン

布志名焼(ふじなやき)のひとつである湯町窯(ゆまちがま)は、数多くある山陰地方の民窯の中でも代表的な存在だといわれています。大正十一年に開窯し、二代目がバーナード・リーチや河井寛次郎から直接技法を学ぶことによって、英国や北欧のような趣きのある作品の数々を生み出してきました。また、湯町窯のうつわは地元で産出される粘土や釉薬を使用していますが、とりわけあたたかな色彩を放つ黄釉は英国のガレナ釉の風合いに似ているそうで、洋風のデザインによく映えます。ちなみに布志名焼は松江藩の御用窯だったそうで、江戸時代から主に茶器を作っていたそうです。民藝運動によって、日本の伝統文化と西洋文化が融合した例はいくつかありますが、湯町窯のうつわもそのひとつです。

湯町窯のエッグベーカー

湯町窯の一番人気は、このエッグベーカーです。ぽってりとした持ち手や蓋のフォルムがなんとも可愛らしく、あたたかみがあります。しかしながら、このエッグベーカーの魅力はデザインだけではありません。火にかけるだけの手軽さと、できあがったときの目玉焼きの美味しさに感嘆せずにはいられません。うつわに生卵をそのまま落として蓋をし、あとは網の上で火にかけるだけです。すると、絶妙な半熟加減の目玉焼きが完成します。塩など調味料を使わなくても、卵本来の美味しさが際立ちます。ぜひ皆さんにも味わっていただきたい一品です。

湯町窯のうつわとbaguette rabbitのパン

スリップウェアのうつわも人気があるそうです。繊細でありながら、躍動感のある模様はそのまま眺めても美しいものですが、料理をのせると控えめな印象となり絶妙なバランスとなります。うつわには「baguette rabbit」のパンをのせています。こちらは名古屋の有名なお店のようですが、非常に香りがよくもっちりとしていて美味しかったです。湯町窯のうつわは洋風の食材にも和風の食材にもばっちり合います。

湯町窯のうつわとbaguette rabbitのパン

こちらは内側の側面に模様が入ったうつわです。垂直だけでなく、斜めに模様が入ったものなどバリエーションがあります。四角いものや円状のもの、大きさも色々あるので全て揃えてしまいたい衝動に駆られます。また、同じデザインでも手作りのためひとつひとつに個性があり、どれを家に持って帰ろうか迷ってしまうのも楽しみのひとつです。キッシュやパイなどオーブン料理に映えるうつわですね。

湯町窯のうつわ

いいなと思って少しずつ買い集めていたら、ご覧のように意外と収集していました。湯町窯のうつわは黄釉だけでなく、写真右下にあるような海鼠釉(なまこゆう)の釉薬も有名です。深みのある青い色が魅力的なので、こちらも少しずつ集めていけたらと思っています。

湯町窯とbaguette rabbitのパン

機会があれば、窯元へ直接訪ねてみたいと思っています。山陰本線の玉造温泉駅のほぼ目の前にあるそうなので、車がなくてもアクセスしやすいそうです。温泉につかりつつ窯元でうつわを選ぶなんて、きっと幸せこの上ないのだろうなと思います。

東京都世田谷区等々力:手しごと「島根のやきもの展」

湯町窯のうつわは普段まとまって入荷することがなく、たまに見かけた時にすかさず購入するか、インターネットで手に入れることが多いです。しかしながら、 尾山台にある民藝店「手しごと」さんで「島根のやきもの展」が開催されることを知り、週末に出かけてきました。湯町窯だけでなく永見窯や森山窯、出西窯といった島根県のうつわが一同に集まっており、充実した品揃えでした。長い時間頭を悩ませて、結局湯町窯のうつわばかりを購入してしまいました。店内は小鹿田焼や龍門司焼、やちむんなど選りすぐりの品々が並んでいます。店主がとても優しい方なので、心置きなくゆっくりとうつわを選ぶことができます。ご興味のある方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

Scroll to top