雑草の植木鉢

雨水の節気が終わり、あっという間に啓蟄(けいちつ)です。三月に入り、虫だけでなくさまざまな生命が活動を始めています。

一年の六分の一を過ぎました。仕事に明け暮れていたり、逆にぼんやり過ごしていると、すぐに時が経ってしまいます。私はこのコラムを書くことによって色々なことを振り返ったり、季節を観察できたりするのですが、二月の終わりから三月の初めの週は毎年お休みしています。なぜなら私のコラムは5の倍数の日に更新予定で、二月だけ三十日がないためです。

そのように七日空いた期間でも、自然は着実に春に向かって変化を続けています。
ベランダではいくつか植木を育てていますが、わざと雑草を生やしている鉢もあります。他の鉢に生えた雑草を移したり、風によって運ばれてきた種が自然に発芽したりして、さまざまな種類の草花が生えています。

オニタビラコ

鉢の中はいつも混雑してぎゅうぎゅうなのですが、草花たちはたくましく成長しています。季節ごとに種類が変わって面白いのですが、同じ季節でも異なるものが生えたりします。背が高くて黄色い花を咲かせるオニタビラコが幅を利かせることがあれば、アレチノギクが繁殖することもあります。これらは綿毛が舞って他の植木鉢に移動するのですが、わざわざ雑草の鉢に戻しています。

有名なカタバミやシロツメクサ、タンポポなどは生えたことはありません。同じくカラスノエンドウも生えたことがなかったのですが、昨年の春に土手で見つけたので種を採取し植えてみたところ、冬に芽が出てすくすくと成長しています。もうしばらく経ったらピンク色の可愛い花を咲かせるのでしょうか。

植木たちの面倒を見ながら雑草の移り変わりを観察していると、多種多様な生き物が渾然一体となって世界が作られているんだなと気付かされます。そして、それぞれに特徴や魅力がありながらも、たいして気に留められずに一生を送っていくのが儚くもあり、たくましくも感じられます。
これからますます草花が活発になる季節なので、より注意深くこの鉢を観察していきたいと思います。

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