春になるとさまざまな花が咲き、私たちの目を楽しませてくれます。「なんて名前なのだろう」と好奇心が膨らみますが、意外と調べないものです。
毎年目を凝らして道端の植物を観察しているつもりですが、見落としているものもたくさんあります。もしくは過去に見つけて名前を調べようと思っていたのに忘れていたものもあります。いつも似たような内容で恐縮ですが、備忘録も兼ねて先日雑司ヶ谷霊園で見かけた植物を紹介したいと思います。
花弁の根元が細く、アウトラインは丸い形、葉は硬そうでギザギザがあるのでカナメモチでしょうか。秋には赤く先端が黒ずんだ実がたくさんできるそうです。
以前のコラムを眺めていたら、このメジロのとまっている枝がカナメモチだということが分かります。葉や赤い実の形状などがカナメモチの特徴を表しています。
こちらはトキワサンザシ(ピラカンサス)と思われます。小さくて分かりにくいですが、花弁の形や葉の感じがカナメモチと違います。こちらも秋には赤い実をたくさんつけます。
遠目で見ると花のつきかたがずいぶん異なります。こちらのトキワサンザシは枝に沿った房のような形になっていることが分かります。
同じ白い花でも全く形が異なるのはヤマボウシ。ハナミズキと同じミズキ科でヤマボウシ亜属なので近縁にあたります。ハナミズキはアメリカ原産ですが、ヤマボウシは日本や中国、朝鮮半島に分布するそうです。
見上げるとクリオネのような、精霊を感じさせる可愛らしい雰囲気です。ふわふわと森を漂っていそうですよね。春の日差しに喜んで踊っているようにもみえます。
樹木から地面へと目を向けてみましょう。ピンクの小さな花はユウゲショウです。名前の由来は午後遅くに咲き、艶っぽい色をしているからだそうです。とても素敵なネーミングですね。北米南部および南米原産だそうです。
こちらはニワゼキショウ。北米原産で、赤紫色の他に白色のものもあります。ちなみに下にある小さな白い花はノミノツヅリというナデシコ科の植物です。これはベランダの鉢にもたくさん発生します。
こちらも北米原産のアメリカフウロ。葉の形が特徴的です。こうしてきちんと植物の名前がわかるとすっきりするのですが、すぐ忘れてしまいます。そんなときに私はこのコラムを開いて思い出すようにしています。
この季節は生命がのびのびとしていて本当にいいですね。私はきっと年寄りになっても同じように道端の植物や野鳥などの自然に目を向けていると思います。自然を観察しているときがいちばん幸せで、自然を愛でながらこの世を去れたらなんて素敵なんだろうと思ったりします。