猫の介護

ここ半年以上家で飼っている猫の調子がよくありません。足が立たなくなり、思うように動けなくなっています。

彼女はもともと野良猫でしたが、人間によくなついていました。このコラムでも紹介したことのある三毛猫です。子どもを産んだのが昨年の春前で、まだ寒さが厳しかったので母子共々全匹保護しました。そのころの彼女は病気の兆候はなく元気に過ごしていましたが、あるときから足取りがふらふらとして、ついに立ち上がれなくなりました。病院で診てもらっても治らない病気でした。

しかしながら、もうだめかなと思うと少し回復し、しばらく経つとふたたび立ち上がれなくなります。食欲がなくなったり、回復したりを繰り返していますが、大きな瞳だけはいつもしっかり輝き続けています。

この二日も調子が悪く、ずっと横になっています。食欲はあるので寝ながら餌を食べさせ、スポイトで水を飲ませます。トイレにも行けないのでその場で漏らしてしまうこともありますが、猫特有の潔癖症からか大概我慢してしまいます。

猫

そのような場合は下腹部を優しく刺激してあげると排尿してくれます。私はこういったマッサージが得意なようで、母に「獣医みたいだ」と感心されます。また「毛繕いができなくて気持ち悪い」という感覚が身体を撫でるだけで伝わってくるので、櫛ですいてやると満足そうにしてくれます。

私は猫の身体に触れるだけでどこが気持ちいいのか悪いのかが直感的にわかります。きっと物心ついたころから猫と過ごしているからなのでしょう。今まではただ猫の機嫌をとることにしか役立ちませんでしたが、介護に応用できて嬉しく思います。糞便もうまく促せるように温水で浸した布などでマッサージしてあげようと思っています。

植物と異なり、猫のような哺乳類は進化の系譜が人間と近いほど、より生々しい接し方が必要になると思います。しかしながら、それは表面上の「可愛い」を超えて、より相手を愛おしく感じるものでもあると思います。さて、人間同士はどうでしょうか。より生々しく、綺麗事では済まないのだというおぼろげな不安がよぎります。家族や大切にしている人を介護するときはどのようなものなのか、逆に自分が介護されるときはどうなのか、少なくとも猫との関係よりは大変な気がします。三毛猫はたまにわがままを言いますが、とてもおとなしくしてくれています。彼女にはすこしでも長生きしてくると嬉しいです。

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