冬と春がせめぎあう荒川土手

暖冬の影響もありますが、いよいよ三月に入って本格的な春の到来です。ベランダのニレケヤキも新し葉ができはじめ、アオイスミレも準備万端です。

ニレケヤキ

路地を歩いていると沈丁花の香りもそこかしこに漂ってくるようになりました。冬と春がせめぎあって、次第にまわりのものたちが命を吹き返すこの季節は、なんとも愛おしく嬉しいものです。

アオイスミレ

こうなると、いつも訪れている荒川土手に行きたくなります。休日は暖かったので、都電やバスを乗り継いでいつもの場所へやってきました。

東京都足立区宮城:荒川土手

大きな空に覆われた土手の風景を眺めると、思っていたよりもまだ冬の植物が大部分を占めていて、褐色の地が広がっていました。しかしながら、地面に座ってよく観察すると、春の植物があちこちでたくましく成長していました。

東京都足立区宮城:荒川土手 オオイヌノフグリ

春の訪れをいちばんに感じさせてくれるのはオオイヌノフグリです。花だけでなく、葉の形もなんだか可愛らしいですよね。私が子どものころから同じ場所で、同じ季節にずっと咲いています。

東京都足立区宮城:荒川土手 コセンダングサ

枯れた植物に目を向けると、ひっつき虫として有名なコセンダングサが多いことがわかりました。種子が衣服や靴下などに触れるとなかなか取れないのが厄介です。花期は九月から十月で、寒い冬の間は葉を落としてじっと耐え、種子に命を託して春を待っているのですね。また、この土手でよく見かけるてんとう虫もすでに活動していました。

東京都足立区宮城:荒川土手 カワウ

カワウの群れが荒川に沿って、私の視界を横切っていきます。近年、数が増えすぎて問題になっています。彼らも寒い冬を越すために必死だったのでしょう、暖かい日差しを受けていきいきとしていました。

東京都足立区宮城:荒川土手

空を眺めると、美しい模様がパノラマになって押し寄せてきます。こうしていると、世の中は平穏で美しいものだと感じます。自分のまわりの厄介事や、人間社会で起きている問題、自然環境での問題など、なにもかも存在しないように思えてきます。

東京都足立区宮城:荒川土手

土手の道を行き交う人のなかには、早めの卒業式を終えて帰宅する学生の姿も多く見受けられました。ウイルスの件は早く終息してほしいなと思います。

東京都足立区宮城:荒川土手

このままだと人の少ない土手でさえも外出できなくなるかもしれません。それぞれが他者を思い、協力してこの問題に立ち向かわないとなりません。せめぎあいながらも一定のバランスを保っている自然のように、私たち人間も調和を大事にしていきたいですね。

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