些細なユートピア

社会を生き抜くためにはさまざまな困難を克服しなければならず、ストレスを多く抱えていかなければなりません。私たち人類は、かつて思い描いていたユートピアに近づけているのでしょうか。

東京都足立区宮城:荒川土手

貧富の差が生まれ、紛争や国家間の諍いが起き、自然のシステムやあらゆるバランスが揺らぎつつあります。最近はこのままで本当にいいのかと考える機会が増えたように思います。

地球規模の大きな問題だけでなく、身近な生活でも感じることがあります。何日も徹夜したり、過度なプレッシャーを受けながら働く必要はあるのでしょうか。他者を蹴落としたり、見捨てたりしてまで富を得る必要はあるのでしょうか。荒川土手を散策していると、鳥や植物をのんびりと眺めるような些細な幸せさえあればそれでいいと感じます。

それでは、文明や社会をリセットしたらどうなるのでしょうか。毎日手に入る食料や過ごしやすい住処、医療や災害救助、犯罪防止など、安心が確保された環境が脅かされるのは恐ろしいものです。現在の世界は多くの人々が幸せに過ごせるために多くの思想が生み出され、試みを行い、たどり着いた結果であるといえます。

私がのんびりと土手を散策できるのも、じつは本当に貴重で贅沢なものなのかもしれないと思います。しかしながら、もうすこしだけ手に入りやすくなるといいなと思います。その「もうすこしだけ」を得るためにはさまざまな創意工夫が必要になってきますが、この役目を担っているのは私たち現役世代であり、考え、行動していかなければならないと思っています。本音は誰か優秀な人に任せたいところですが、自分自身ができることに目を背けてはならないような気がしています。

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