二十四節気は啓蟄(けいちつ)となり、昼間はかなり暖かくなってきました。外に出てみると、初春の小さな花々がそこかしこで咲いています。
毎年よく訪れている荒川の土手。めずらしく昨年の春に行ったきり足を運んでいませんでしたが、相変わらずのどかな風景が広がっていました。
まだ地面は褐色のままでしたが、ところどころに緑色の彩りが広がり始めています。花たちはそこに身を寄せながら、さまざまな色彩を放っていました。
この時期では比較的大きな花となるホトケノザは特徴のある形をしており、花弁の赤紫色と相まって目に留まります。春の七草にも同じ名前の花がありますが、そちらはオニタビラコという名前を持っています。拝むような姿をしているこちらのほうが、ホトケノザという名前にふさわしいですね。
オオイヌノフグリは初春を代表する薄青色の花で、この花を見るとようやく春が来たと思います。幼い頃から今まで荒川土手の同じ場所でこの花を見ていますが、何十年も命が継承されているのでしょうか。
こちらも豆粒のような小さな花で、おそらくミチタネツケバナだと思います。在来種のタネツケバナと同じアブラナ科タネツケバナ属ですが、ヨーロッパ原産の帰化植物だそうです。
白い花といえば、ぺんぺん草の名前で知られるナズナも春を代表する花です。初春から咲き始め、暑くなる時期まで咲き続けます。この植物はなんだか郷愁を誘う形をしていると思うのは私だけでしょうか。
ハコベも咲いていました。蕾にたくさんの毛が生えているのが特徴です。花弁は十枚あるように見えますが、実は五枚の先が割れているそうです。
桜が咲く頃の春も大好きですが、初春の健気でありながらたくましい自然も大好きです。毎年静かに穏やかにこの季節を楽しめたら、もうなにもいうことはありません。