鷽(うそ)替えは前の年の厄災を嘘として今年の吉兆を祈願する神事で、主に菅原道真公を祀る天満宮で行われています。多くの神社は毎年一月二十五日に行っていますが、四月や十一月のところもあります。
鷽は野鳥のウソのことで、蜂に襲われた道真公を助けたといわれています。この神事では前年に授与された木うそ(木彫りの鷽)を新しいものに替えるのですが、神社によって木うその形が異なり魅力的なのです。
亀戸天神社(亀戸天神)では木うそは丸い瞳のきょとんとした表情が可愛らしいですね。亀戸天神では木うそをモチーフにした土鈴や寝付、絵馬や笛などもあります。
湯島天満宮(湯島天神)の木うそは細長い枝を使用しており、ウソが枝にとまっているように見せるために樹皮をそのまま残しています。
久留米の北野天満宮と太宰府天満宮(太宰府)の木うそはとてもよく似ていますが、これは太宰府の木うそ保存会が制作しているためです。お鷹ぽっぽのようにめくれた羽根が美しいですね。北野天満宮の鷽替えでは、参拝者同士が「替えましょ、替えましょ」と言いながら底に番号が付いた木うそを交換したあとに、景品が当たるのだそうです。
赤みみずくも然りですが、日本の郷土玩具や伝統工芸品は素材や職人のぬくもりが感じられます。現代の感覚からしても卓越したデザインなので、長い間愛されているのも頷けますね。