ふたたびここへ

季節は瞬きをする間に足早に、そしてゆっくりと過ぎていきます。つい先日「清明が訪れた」なんて言っていたら、すでに穀雨の節気が訪れていました。

東京都北区豊島:ツバメ

清明といえば、初侯に「玄鳥至(つばめいたる)」があります。これは、遙か南方へ旅立ったツバメたちが、子育てのために再び自分たちの生まれ故郷に帰ってくる時期です。ちなみにツバメを燕と書かずに玄鳥と書くのは「玄(くろうとの玄)=黒い」からきているそうです。

昨年の今くらいの時期にツバメを見ました。つがいのツバメたちが巣を見張っているのを目の当たりにして、感動したのを覚えています。私が探鳥を始めたのもこの時期からで、彼らはそのきっかけを与えてくれました。

そして、丸一年経った先日、彼らが戻ってきているかどうかを探りに同じ場所に訪れてみました。薄暗い団地の吹き抜けには、変わらずツバメの巣がありました。冬の間もたまに覗いてみていたのですが、この巣は壊されることなくずっと同じ場所にあり、どうやら毎年ツバメに使用されているようでした。

同じ場所にたどり着き、辺りを見渡してみると、壁際に二羽のツバメが巣をじっと見つめていました。昨年見たツバメかどうかはわかりませんが、小さくも美しい燕尾服はそのままに、凛とした佇まいを見せてくれました。

東京都北区豊島:ツバメ

彼らは遠く台湾やフィリピンなどに渡るといいます。両手に包めるほどの小さな身体のどこにそのような力が潜んでいるのかわかりませんが、広い地球のどこにでも行けるのに、ちゃんと同じ場所に帰ってくるのはなんだかとてもロマンチックです。

ツバメやその他の夏鳥が飛来すると同時に、冬鳥である水鳥やジョウビタキなどは私たちの土地から去っていきます。同じ時間を共にした、愛しい仲間たちがいなくなるのは寂しいものですが、季節は同じように流れ、再会を促してくれます。
今回見たツバメたちは、昨年見た者たちかどうかは詳しく調べなければわからないものですが、見えない絆やつながりをついつい感じてしまいます。

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